誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。









〈……なら、僕たちが。〉



〈力になってあげるわ。〉








突然頭に響いたその声に、俺たちは周囲を警戒した。



〈そんなに警戒しなくてもいいわよ。
私たちは貴方たちの味方よ。〉



暗闇に瞳を凝らしてみれば、黒い猫とリスがいた。



「君たちは……、」



〈……僕たちが志浪呉都の願いを果たす手伝いをしよう。〉



〈私たちは使徒。神の使いで頼まれたのよ。
"貴方たちの手伝いをしなさい"ってね。〉



「……俺たちはお前たちを信じていいのか。」



〈えぇ。もちろん。
ならば、契約をしましょうか。〉




「……契約?」



〈……なら、僕が来都としよう。〉



「……なんで、俺の名前……。」



〈……僕たちは何でも知っている。
君たちのこれからも、結末がどうなるのかも。
僕たちはそういう立ち位置なんだ。
先に教えてあげようか?〉



「……いい。
もし、お前らの見えている未来が最悪だとしたら、俺が変えてみせる。」



〈……フッ、期待してるよ。
じゃあ、始めよう。
我、第二使徒は志浪来都を主とする。
そして、主の願いを必ず果たすとここに誓う。〉



そして、俺を光が包んだ。



さっきの兄さんみたいに。








〈……これで完了だ。
第二神賢者、志浪来都。〉



「……よろしくな、シヴァ。」



〈……シヴァ?〉



「……名前ねぇと不便だろ。」



〈フフッ、いい名前じゃない。〉








俺たちは流した涙に誓った。






例えどんなことがあっても、拒絶されようとも、彼女を見守り……護りぬくと。
















だからな?



今お前が真実を知って涙を流してくれていることを、俺は嬉しく思う。



お前の口から聞いたことはなかったけれど、お前も兄さんと同じ気持ちでいてくれたことが。



例え世間じゃ許されない殺し屋だろうとも、誰かを愛し、愛されていた。



それを証明してくれる奴が、ここにいる。



この狂った世界で、お前だけが……兄さんがこの世界にいたことを証明してくれる。



きっと兄さんは幸せだ。



あの時も、そして今も。



どうせ今頃、真琴の心の中で笑ってそうだな……。



俺の心の奥底に閉じ込めてあるモノまで見透かしてそうだが。







「……だから……俺と兄さんの最初で最後の約束、果たさせてくれ。」







兄さんの意思を託された者として。



お前の仲間として。



俺の覚悟は、もうとっくに出来てるんだよ。



end















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