誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。



「忠告。蘭丸さん、壊れてる。
何するか、分からない。」







「……わざわざ……それを言いに……?」







帝王は無言で頷く。



何で敵に仲間の情報を……。



「あんな蘭丸さん、初めて。
あれを止めるのは、厳しい。」



「……じゃあ、どうすれば?」



「使徒の力、必要。それも、多くの。」



「……ビビたちの?」



「蘭丸さんの能力、負の感情で増幅、する。
だから、それに打ち勝つ、力……必要。」



負の感情……。



それじゃあ今の皇帝は……力が無制限に出せるのか。



そうなったのも私の責任なんだよね……。



「俺は、立場上、一緒に戦えない。
だから、代わりに頼む。
蘭丸さんを、闇から解放して。」



そう言って頭を下げた帝王。



この人は……皇帝を助けたいのか……。








「……私はこの物語に終止符を打つ。
だから、皇帝に勝たなきゃいけない。
大丈夫。貴方の意思……受け取ったよ。」



帝王は少し安心したような、そんな雰囲気がした。



「ありが、とう。じゃあ、待ってる。」










あぁ……やっと分かった。







「……ねぇ……あなたは……、」







その後ろ姿に声をかけた。



でも、帝王は振り返らずに言った。








「今考えてしまったことは、言葉にしない方が、いい。
それは、最後にしよう。」







なんであなたのことが何となく分かるのか。







自分もフードを被っていたからだ。







私とあなたは似ている……。







そして、この公園も……私は知っている。







なぜなら…………。
















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