誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。



「レディ。1つ占って差し上げましょう。」



睨み合いをスルーしたカイさんは、私の目の前で巧みにカードを操る。



もしこれがトランプとかだったら、間違いなくイカサマされそうなほどの手の早さ。



「これまた美しいカードデス。
The Chariot……戦車。
物事は力強く前進し成功を収めることが出来る、という意味が込められていマス。」



「……心強いです。」



「デスが、気をつけて下さい。
その裏には暴走がついていマス。」



「……はい。頭に入れておきます。」



きっとカイさんは気づいている。



私が心の奥で考えていることに。










「……真琴。」



「こんばんは。」



「真琴ー!」



「……みんな、今日はありがとう。
ずっと今まで……呉都さんとの約束護ってくれてありがとう。
気づいてあげられなくて、ごめんなさい。」



そう言うと、みんなは苦笑した。



「僕たちが自分たちで選んだことだもん。」



「それに、呉都さんとの約束だけじゃない。」



「……お前は、俺たちの仲間だろう。」








まるで、初めてみんなで昼食を食べた時みたいだ。



私たちはちゃんとあの日から歩いてこれてたんだ……。



間違いや過ちも、それも全て抱えて歩いてきた。



その歩いた道の先にあるゴールが今日だとするのなら。



そろそろゴールテープ切らないとね。










「燐理、由樹さん。
今までついてきてくれてありがとう。
結局巻き込んでしまう形になってしまったけれど、2人は本当に私の兄のようでした。」



「んだよ、最後の別れみてぇだな。」



「僕たちは今までも、これからも真琴ちゃんのそばにいるよ。」



そうだね。



そうなったらいいな。



これからも、あのbarでわいわいやっていたい。







「カイさん。笑真さん。
頼りにしてます。よろしくお願いします。」



「ハイ、レディのためなら火の中水の中喜んで飛び込みマショウ。」



〈私もカイくんと同じだよ〜!〉



神賢者になったというだけで巻き込んでしまったカイさん。



きっと故郷に家族だっているはず。



絶対に死なせない。


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