誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。


〈敵だったが、有意義な時を過ごさせてもらった。〉



ずっと一人ぼっちだった皇帝のそばにいてくれたセイ。








〈たくさん遊んでくれた朱羅が大好きじゃん、キャハ。〉



私の代わりに家族になってくれたであろうジュラ。








〈カイくんと離れるのは寂しいけど……ずっと忘れないでね?〉



たくさんの場所にいってたくさんの思い出をカイさんと共有してきた笑真。



良かった……。



みんな、この世界で大切な人に出会えて、思い出を作れて。



他の世界がビビたちに辛く苦しい世界であろうとも、この世界だけはビビたちを温かく迎えてあげられる。








その時、私の指先が薄くなっていくのが見えた。



もう……時間なんだ……。



みんなにバレないように、後ろに手を組む。








「……なんで、これが最後みてぇなこと言うんだよ。」








来都……ごめんね。









「これが……最後だからだよ……。」








「……なんで……なんでだよ……ッ!!」








「私は、神様に願い事をしたの。
"能力をなくして、誰もが平等に生きれる世界に"って。
特別な力なんていらない。
私たちはもう……弱くない。」








使徒が心が弱くなった人と契約するというのなら、私たちはもう契約者にはなれない。



この日をもって、私たちはまた新しく生きるのだから。








「……また……俺たちを置いていくのかよ……ッ。
お前も……兄さんと同じように……ッ。」








また、こんな思いをさせてごめんね。








「憎むなら……憎んでくれてもいいよ。
でも、呉都さんは……今もこれからも来都たちを見ていてくれてるよ。」








少し下を向いた時、誰かに思い切り抱きしめられた。



誰か……なんて野暮な話か。



最初から分かっている。



私は、この温もりに何度も救われた。








「誰が憎むかよ……ッ、バカ野郎……ッ!!」








「うん。来都、ありがとう。」








その大きな身体を、抱きしめ返した。



呉都さんが私にしてくれたように。



私の思いが届くように。


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