誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。
それは多分、分かっていたからだ。
行かせてしまったことで、楽に罵られるのを覚悟していたから。
それでも……桜悠のためを思って、来都は行かせたんだ。
「……楽、とりあえず落ち着こう?
まだ、終わったわけじゃない。」
「真琴……。」
「……桜悠のこと、俺に任せてくれない?」
どんな思いで桜悠が戻ろうと決意したのかは分からない。
その桜悠の気持ちを踏みにじることはしない。
でも、来都や楽の気持ちも、桜悠は知らなきゃいけない。
そうしなきゃ、桜悠はまた……過去に縛られてしまう。
それだけは、ごめんだ。
携帯を取り出し、ある番号をタップする。
«もしもし?»
「……突然すみません、楓さん。」
«いえ、いつだって構いません。
要件は……伊佐波桜悠くんの事ですね?»
「……話が早くて助かる。
楓さんから持ちかけてくるということは……、」
«えぇ。桜悠くん……戻ってきたみたいなんです。
ですが、私が思うに……あれはただ戻ってきた訳じゃないと思うんです。
きっと、あの子は……ッ»
「……分かった。もうこれ以上言わなくていい。
貴女は……もう関わらない方がいい。
依頼は、ちゃんとやらせてもらう。」
«……ありがとうございます。
くれぐれもお気を付けて。»
「……はい。」
そして私はある人に電話をかけた。
「……もしもし……。」
さぁ、そろそろ始めようか。
私の全てをもってして、来都と楽と桜悠の関係を……護ってみせる。
そのためにも……桜悠を取り戻そう。