誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。
「今日は桜悠くん来てるかなぁ……。」
「……大丈夫だよ。」
次の日、いつも通り学校に来て今は昼休み。
あの後、桜悠がどうしたのかは知らない。
でも……もう大丈夫だと思う。
「こんなにも屋上に行くのが緊張するなんてなかなかないよー……。」
楽も気が気じゃなかったらしい。
「じゃあ……開けるよー?」
「……うん。」
扉を開けると、陽の光に目を奪われたが……その先にいる存在に自然に頬が緩んだ。
「おはよう……楽、真琴。」
いつもの笑顔で私たちを呼ぶ声が私たちの胸を掴んで離さなかった。
今回は……ちゃんと護れたんだ。
大切な人を。
「……ッ、桜悠くんのバカーーッ!!!!」
「うん。楽、ごめんね?」
「ホントだよ!!勝手にいなくなってどれだけ心配したか……ッ!!」
「うん……。もうしない。
俺にはみんなが必要なんだ。」
「僕もだよ……ッ!!」
これで良かった。
桜悠のいるべき場所はここだ。
桜悠はそれを自分の手で掴んだ。
「……ありがとな。」
「……別に、俺は何もしてないよ。」
「……それでもだ。」
そう言って私の頭を撫でる来都。
それが……嬉しかった。
その温かさに私はただ身をゆだねる。
この日々が……いつまでも続けばいいのに。