誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。



プルルルルルル、プルルルーー



「……もしもし?」



«おう、真琴か?»



「どうしたの、燐理。」



«お前んとこの学校、明日学祭だろ?»



何か……とてつもなく嫌な予感がする。



«由樹と「却下。」……ってまだ最後まで言ってねぇだろーが!!»



言わなくてもわかるわ、そんなもん。



「嫌だ。ていうか、俺は裏方だし。」



«なら別に行ってもいいじゃねーか!!
お前が独りぼっちで過ごしてないか確認するだけだって!!»



今、猛烈に失礼なこと言ったなコイツ。



「尚更嫌だ。燐理と由樹さん一緒にいたら目立つ。」



«そんなん平気だって。
……あ?なんだよ由樹……っておい!!»

«もしもし?真琴くん?»



「……由樹さん、本当に明日来るんですか?」



«え?ダメ?»



何でそんな意外そうな声で言うんだこの人は。



「ダメです。」



«真琴くん、裏方なんだよね?
ていうことは料理作るんだよね?»



「……そうですけど。」



«この間は僕がお粥作ったから、今度は真琴くんの料理食べたいなぁー。»



グ……ッ、言い返せない……。



«ねぇ……ダメ?»



「……分、かりました……。」



結局、私が折れるハメになった。



«フフッ、じゃあ明日行くね。また明日。»



「……はい。」



電話の奥で何やら燐理が騒いでいた気がするけれど、きっとまた由樹さんが宥めているだろうな。



今更だけど、由樹さんと桜悠は何か似てる気がする。



丸め込まれるというか。



それにしても……明日、嫌だなぁ。



明日は何か起きそうな予感。















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