【完】『そろばん隊士』幕末編
◆8◆

斯くして。

岸島芳太郎は八番隊から、次は取調方監察へと異動を命ぜられた。

むろん。

勘定方は兼務である。

ただ。

監察には山崎丞や尾形俊太郎など仕事の出来る人物が多かったのもあり、ほとんど勘定方としての勤務の時間帯が長い。

そうした中。

勘定方として長年、局中の会計を担ってきた河合に切腹が命ぜられたのである。

表向きは、

「不明の金銀これあり、その責めを負う」

とあるが、帳簿を見る限り怪しげな使い道はない。

むしろ。

局長の近藤が深雪太夫の他にも何人かの囲い女のために、金を湯水のように使うことを、河合が快く思っていなかったことを岸島や芦名は知っていたので、

「おそらく口やかましい河合どのを口封じするために、腹を切らせたのではあるまいか」

と芦名鼎は言った。



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