姫様と魔法のキス



深く頭を下げるニカの頭を、レゼは自分の右手を伸ばしてポンポンと撫でる。

その動きに反応してニカが顔を上げれば、レゼの赤い目が真っ直ぐにニカのことを見つめていた。


「噂が噂だし、隠すのは当たり前だと思う。だから謝る必要はないし、むしろ今回助けて貰ったのはこっちなんだから謝るのもこっち。魔法使わせてごめん」


そう言って今度はレゼが頭を下げる。

その頭を今度はニカが腕を伸ばしてポンポンと撫でた。


「お互い様だね!」


恥ずかしそうにハニカミながら悪戯っ子のように笑ったニカに、つられてレゼも笑う。

さっきまであった気まずい雰囲気は全くなくなり、明るく笑う2人を小屋の窓から子ギツネが覗き、満足そうに1回鳴いた。




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