秘密
「え? ちょっと、やだ、何?」
私の首筋に顔を埋める彼に私は焦って声をかける。
彼は何も言わず、私の首を吸い上げた。
「あっ 何するの!? やめてよっ!」
どんっ と彼を押し退けた。
「俺のこと、好きじゃ無いだろ?」
彼が何を思ってそんな事を言ってくるのか解らない。
・・・押し倒されて抵抗したから、好きでは無いって思うの?
好きでも、抵抗することってあるんじゃないの?
「こういう事がしたいんなら、私は出来ない。・・・ごめんなさい。」
私は涙が込み上げた。
彼を好き。 だけど、彼に全てを捧げる行為はできない。
火傷の痕を知られたくない。
私は立ちあがり、彼の部屋を出ようとドアノブに手をかけた時、彼は切なそうな声で言った。
「お前は、俺と違って勉強が出来るし、先生からの評判も良い。 俺が告白してもバカにされてお終いだと思ったけど、思いがけずお前と付き合える様になって、俺 本当に嬉しかった。」
確かに私は勉強だけは姉や妹よりも出来た。 と言っても、姉と同じ高校に入学する位だから抜きん出てという程では無い。 彼は何が言いたいの?
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