湖都子のポエム7

もしも……願いが叶うなら……

どんなに想っても……
あなたは応えてくれない
あなたは俺なんて見てない
そんなのわかってるよ

それでもあなたに会いたい
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美緒は知らない。俺には秘密がある。

母さんが美緒だけを連れて家を出た。俺も一緒に行きたかった。だけど、わかってる。俺とは血のつながりも何もないんだから……

俺の本当の母親は……毎夜ホスト通いして、遊びまくって父と俺が2才の時に離婚したと聞いていた。覚えてることなんて、ひとつもなかった。そして、美緒の母親はバツイチっていっても、美緒が生まれてすぐに父親が交通事故で亡くなった。そのあとはおばあちゃんと3人で暮らしながら、うちの会社で働いていた。その後、再婚した。仕事で忙しい父との暮らしだった家が、笑顔に包まれた幸せな家庭になった。あの頃は、本当に幸せだった。

2人が出て行ってから、また2人の生活。寂しくて……寂しくて……心に穴が開いた。たまに2人と会えることだけが、幸せを感じられた。

俺が女嫌いっていうのは、事実だけど、本当は違う。好きな人がいないわけじゃないんだ。自分の気持ちに気づいたのは、美緒に彼が出来たと知った時……そんな話は聞きたくない。嫉妬に狂う自分に驚いた。そして、彼と別れたと聞いて、なぐさめながらも、心の中では喜んでた。

おばあちゃんも亡くなり、1人になった美緒がうちにきてくれた。一緒にいると、嬉しいことが増えていった。毎日が幸せだった。

そんな幸せを壊したあの男が許せなかった。別れてすぐに他の女と付き合ってるこもを知り、すぐに美緒に連絡した。傷ついた美緒に言うべきじゃないのに……

俺は待つだけだった。ひたすら待っていた。美緒からの電話を……だけど、全然連絡なんてこない。まるで、俺なんて必要ないって言われてるみたいだ。

俺の気持ちなんて、何もしらないで……

これで最後でもいいから、もう一度だけ会いたい……よ

だから、前に教えてもらった美緒の部屋を訪ねた。また会えると思っただけで、ドキドキする。

出てきた美緒は、泣き腫らして……まだ、あの男のことを忘れられないのかと、心の中では嫉妬に狂いそうだった。ても、美緒の言葉は意外なもので……それならうちにこい……って、言った。

翌朝、本当に美緒がきた。もう離さないから……

抱き寄せた美緒のぬくもりにホッとした。本当に美緒がいる……夢じゃないんだ……俺の幸せは、美緒が一緒にいてくれること。これがかけがえのない幸せなんだ。

俺の心の中に、優しく差し込む光……
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