東の空の金星
私達はいつものように大きなテーブルに横に並んで食事をする。

「俺って、わかりやすい男みたいで…
夏の終わりぐらいからシマのことが好きだって自分で気がついてたんだけど…
でも、もっと前から遥香ちゃんはわかってたみたいだ。
…桜子を忘れられない。って言ったら、
シマはきっとそんな事はわかってる。ってそれでもきっと、俺を好きでいてくれるって
言ってたんだけどさあ。
やっぱり、年が離れてる事や、俺が再婚だっていうのが気になって。
シマにはもっと似合う奴がいるって思ったんだけど…
さっき、三島から俺はシマのこと、どう思ってるんだって
自分は好きだからこれからキスするけど…とか電話があってさあ…
そしたら、勝手に足が走りだしてた。」

とポツポツ言って私に笑いかけた。

なんだ。

大和さんがマンションに来たのは先生が呼んだからか…。

と納得し、



私はそんなに悩まなくて良かったのかもしれない。

と可笑しくなってクスクス笑った。

「何笑ってるんだよ。」と不機嫌になる大和さんに、

「ずっと一緒にいてください。」と笑いかけると、

「俺が死ぬまでは一緒にいる。」と言うので、

「死んだら、私のここに入るんです。
桜子さんが大和さんの中にいるように…」

と私が自分の左の胸の上を手のひらで押さえると、


「そうだな。」とそっと私の胸の上の手に自分の手を重ねた。

私は自分の言った言葉がちょっと照れくさくなって、

「エッチ。」と笑うと、

「…アホ。」と大和さんもくすんと笑った。
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