東の空の金星
玄関横のシャッター付きのカーポートの扉にリモコンをかざすと、
自動で大きなドアがガラガラと上に上がって行く。

2台分の駐車場って感じだ。初めて開けるけど…

1台分の空いた場所の隣に大きなブルーのオートバイが止まっていた。

これは大和さん…のだよね。乗っているのは知らなかったけど…。

でも、少し埃が積もっているかな。

あまり乗っていないものかもしれない。

とちょっと思いながら、店に急いで戻った。



12時前にやって来た集団は6名。男性が3人、女性が3人。

マスターに紹介され、挨拶をする。
1番年上の男性が院長先生の小泉先生。桜子さんの主治医の先生だ。
中年の貫禄のある栗山先生。
30代に見えるちょっと見は男性アイドルのように整った顔立ちの背の高い三島先生。
後は看護師長の鈴木師長。
30代半ばに見える主任看護師の歩美さんと20代前半の事務の優花ちゃん。
は…どちらも綺麗系で三島先生狙いに見え、
ちょっとした仕草や、言葉で、三島先生を気にしているのがわかる。

私は氷水をコップに入れて持って行きながら、
そっと観察して、注文を待つ。

「最近、美味しいパンのランチが出来たって、看護師達に聞いてね。
私は鴨のつけ蕎麦を食べるけど、覗きに来たってわけだ。」

院長先生が笑いかけてくれる。

「ありがとうございます。」と言うと、

「遥香ちゃんの代わりの店員さんだね。
大和くんや、芳江さんには会うかな?元気にしてる?」

「はい。」と微笑むと、

「良かったよ。君達は何を選ぶ?前は鴨のつけそばを6つだったんだけど…
パンのランチはどうなってるの?」と聞かれて、

ランチセットの説明をすると、
三島先生と、女の子2人が立ち上がって
大理石の作業台に並んでいるパンを見に行く。
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