恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
バーベキューは、賑やかに続く。

私は何杯トン汁をよそっただろう。
お玉が重くなってきた。
明日は筋肉痛になりそうだ。

そこへ盛況だねといいながら、院長がやってきた。

「上川さんだね。
よく桜子が君と尾崎くんのお宅に伺っているそうで、ありがとう。
桜子は気が強いから付き合うのは大変だろうけど、よろしくお願いします。」と父親の顔をする。

私は笑って、
「桜子さんとは性格は違いますけれど、とても、気があうと思っています。
こちらこそ、よろしくお願いします。」と答える。

「ところで、」と院長は続ける
「尾崎くんとは、結婚の約束をしているのかな?」

「いえ、…古くからの友人です」と口ごもる。

「失礼、いや、尾崎くんの入職日に独身かと聞いたら、
心に決めた人が居ると言っていたものだから、てっきり…
…大変、失礼した」と恐縮している。

「尾崎先生は私の健康管理のために一緒にいるだけです。
私が正規の職員に戻ったら、ルームシェアは解消です。」と笑ってなんとか言えた。

リュウが4月にに来た時にはもう『心に決めた人』がいた。

その事実は私の胸を苦しくする。


「では、バーベキューを楽しんで…」と笑顔で院長は去っていく。
私は微笑んで頭を下げた。

隣で同じく聞いていた今日子ちゃんは
「やっぱり、略奪しかないか…略奪しましょう。奈々ちゃん」と呟いた。
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