恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
私が手を出せずに怯んでいると、

「どうかした?」とリュウが聞く。

「私にはちょっと、石が大きすぎる、
失くしたらって思うと、とても、つけられない。」と弱音を吐く。

「えー、いつも付けて欲しいんですけど。
俺の給料3ヶ月分が受け取れないってどーいう事よ」と呆れる。そして、
「これなんかどお?シンプルで綺麗だと思うんだけど」
と指輪のひとつを手にとって私の指につける。
「エメラルドカットのものです。
カット少ない分、石の美しさが引き立ちます。」
長方形にカットされたその石は確かに美しいけれど、手が震える。
「こら、ナナコ、手が震えてるぞ」と、リュウは笑い、
店員に、どういう事だと思う?と相談する。では、と、
「エターナルリングはいかがでしょう?」と
用意してくれたのは、小さめのダイヤが正方形にカットされていて、
ぐるりと輪になっているもの。
「これなら、マリッジリングと重ね付けされてもよろしいかと思います。」

で、でも値段はさらにお高いし、

「おー、それ、指につけても邪魔にならなそうじゃん」とリュウ。
「失くしたらって思うと…」とリュウの顔を見ると、
「わかった、ネックレスお揃いで買おう。
外すときは、両方首に付ければ、失くさない。だろ?
で、どっちにする?
両方っていうのは、今日はムリだぜ。
デザートじゃないんだから。」と笑い、決断を迫る。

困った。
いつもつけるんなら
…やっぱり、エターナルリングがいいのかも…と、思う。

「こっちをいただきたい。です。」と言うと、
リュウは、ニッコリして、ナナコはそっちを選ぶと思ってた。と言って、
私の指にリングを通した。


自分の指じゃないみたいにゴージャスに成った指に見とれているうちに、すっかり会計も終了し、
「はい、出発。」と手を掴んで歩き出す。


と、スーツを買った、ブランド店に寄り、森さんに挨拶する。
「森さんの選んだナナコのスーツ。よく似合ってるだろ。」とリュウは笑いかける。
森さんは、「おふたりとも、とてもお似合いのカップルです。」
と、ちょっと涙ぐみ、リュウを慌てさせた。
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