恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
「…リュウ、他の部屋を捜すといいんじゃない?」と言ってみる。

「だって、これから、勤務の間に部屋を探してたら、
すぐ、2、3ヶ月経っちゃうよ。
そして、10月にまた引っ越すって、大変でしょ。
俺、今の病院でこんな事頼めるのナナコしかいないし…、
俺がここにいるの嫌?」

と悲しそうに私の顔を覗く。

こ、こら、顔が近いよ。

それに、そんなに見つめられたら、
…嫌だって言えないじゃない。

「嫌じゃない。嫌じゃないけど…」言い淀むと

「よかった、考えてくれるんだ。」と嬉しそうにリュウは笑った。

あー、もう、


「考えるから、…時間をください。」
と、私は力なく返事をする。

今は、…
今は徹夜明けで思考能力が低下しているし、
さっきの騒ぎでダメージも大きい。

…後で考えよう。

「もお、疲れた。私は寝たい。
リュウ、鍵は新聞受けに入れて帰ってください。」と告げる。


「わかった。よく寝て、よく考えて。
…週末ぐらいには返事をくれる?」とリュウは嬉しそうな声をだす。

もう、私の思考能力は限界だ。
「ナナコ、あのさー、それで…」とまだまだ続くリュウの声に

「…検討します。おやすみなさい」

とまだ話しがありそうなリュウの話を切り上げて、寝室に入る。

今は無理です。

私は泥のように眠った。

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