恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
「へええー、いそうろうねぇ。リュウ先生考えたね」と、美波がクスクス笑う。

笑い事じゃあないけど…。

今日は土曜日。
小児科で勤務の後、美波に食事に誘われた。

『今日は旦那出張で、子供達は、おばあちゃんの所なの。』とニッコリ誘ってくれたのだ。

「どう考えたらいいのかわからなくなっちゃって」と私は呟く。

「リュウは優しいし、一緒にいると楽しい。
でも、このまま一緒に暮らすのって、なんか違うっていうか…」というと、

「あのさ、ナナコ、
リュウ先生はとりあえず、ナナコに元気になって欲しいって
思ってるんじゃないかな。
一緒に暮らしてもルームメイトっていうことならなら
必ずしも、男女の仲になる必要ないし、
部屋代とか払ってくれるんなら、
割り切ってもいいんじゃないかな。
実際、貯金減ってきて
来年あたりは実家に帰るかもっていってたじゃない。」と言う。


「そうかな。私が意識しすぎてるのかな?」

「リュウ先生の事、好きになった?」と美波。

どうかな?

「よくわからない。
私の事を考えて色々やってくれてるのは理解できてるけど、
イロイロとリュウの行動力についていけないの」

「ナナコが理解するのを待ってから、行動してたら、
ちっとも前に進めないんじゃないの?」

「それって、私が、のろいって言ってる?」

「ま、慎重で真面目なのがナナコの持ち味だけどねー。」と美波は笑って、

「リュウ先生の人並み外れた行動力とナナコの慎重さ。
いいバランスだと思うけど、
まあ、気楽に前向きに考えようよ」と、私にグレープフルーツサワーを勧めた。
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