恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
そうかな。
気楽に考えていいのかな?
私は、また考えながらマンションに戻る。
ドアの前に立った時、新聞受けから微かに灯りが漏れているのに気づく。

あれ、玄関の照明って消し忘れたかな?


鍵を開け、玄関に入ると、見た事がある靴が脱いである。

これって

「リュウ」と呟くと、
「ナナコ、おかえり」とリュウが、リビングからやって来た。

「どうやって入ったの?」
「鍵を開けて玄関から」ととぼけた答えに、私の怒りに火がついた。


「勝手に合鍵をつくったの?!」
「この間、いそうろうを頼んだ後に鍵を預けられたから、いいかと思って。」
「そんな訳ないでしょう!!」怒りながら上着を脱ぎ、リビングに入ると、

…ない。
朝まであった私のソファーがない!
新しい大きなソファーに変わっている。
それにテレビ、テレビがすごく大きくなっている。


あんまり驚くと口が開くって、本当だ。
私は呆れてリュウの顔を見る。

「えーとね、ここにあったソファーは、俺が寝るには小さすぎるから、
ソファーベットを新しく買った。
ほら、こうするとベットにハヤガワリ。
あとね、テレビは俺の部屋から持ってきた。
勿論、ナナコが使ってたソファーとテレビは俺の部屋においてあって、
引っ越すとき返すよ。
あと、コーヒーメーカーも買って来たよ。
俺はコーヒーはドリップするんだけど、ナナコは面倒でしょう。
あと、ジューサーと、自分が使う食器。
冷蔵庫の中もイロイロ買い足したし、…ダメかな、ナナコ?」
リュウはとびきりの笑顔だ。
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