あの日失った想い
私はベッドの近くに来て郁麻のキレイな瞳を見つめて笑った。





自分が今出来る、最高の笑顔で。





「だからね、それを教えてほしかったら絶対手術に成功してきて。




私、あなたのことをずっと……待っています」




「っ、」





若干、ほんの僅かだがクールな彼の顔が赤くなった気がした。





でも、すぐに戻って、笑い返して私に言葉を放った。





「ありがとう」





と。







もう、あなたは本当に反則ばっかなんだよ。





その上鈍くてさ……絶対、私の想いに気づいてないでしょ?





でも、必ず伝えるよ。あなたが帰ってきたら。





成功率が半分もないなんて、あなたは気にしていないでしょう?





でも、それは私も同じ。たとえ1%しか成功しなくても、あなたは帰ってくるって私は思っているの。




根拠も何も無いけどね。
















だから、郁麻。ずっと待ってる。何年、何十年経って、私がヨボヨボのおばあちゃんになっても。






あなたをずっと信じてるから。




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