てるてる坊主にコロサレタ
「………ママ、……あれって何? 」


ほのかが校庭のすみにある黒い影に気がついて、指を指した。
それはゆっくりと近づいて来ているように見える。


「ほらほら、早く取りに行かないと大変なことになっちゃうよ」


わたしの言葉にこっちを向いたほのかは「ひっ」と小さく悲鳴をあげて顔を反らした。


まだ怖がるなんて、本当に可愛いげのない子。


そして潤子とほのかは足をもつれさせながら慌てて教室を出て行った。

その無様な姿がおかしくて、わたしはまた声を出して笑ってしまった。
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