てるてる坊主にコロサレタ
結局その日は奈穂実は学校には戻ってはこなかった。

奈穂実に叩かれた由梨は担任の山崎先生に

「突然、叩かれた」
「昨日の腹いせだと思う」

と自分たちが奈穂実の親を中傷したことは伏せていた。
頬をさする由梨を心配しているようなほのかだったけれど、ニヤとした表情を一瞬浮かべていたのをわたしは見逃さなかった。


学校が終わり、置きっぱなしにされたカバンとその上に乱雑に重ねられたプリント。

気にはなっているのだろうけれど、誰も奈穂実の家まで届けてくるとは言い出せずに帰っていく。

わたしもそのうちの一人だった。
< 38 / 187 >

この作品をシェア

pagetop