てるてる坊主にコロサレタ

さっさと帰ろっと。


わたしはロープをくぐると、敷地の中に入った。
この工事現場の奥まった所に、露草が群生しているところがある。

制作中の絵の、露草の花の色を確かめたくて立ち寄ってみた。


「ねぇ。……ねぇってば」

「きゃああっ! 」


突然の声にわたしの体は跳びはねて、思わず悲鳴をあげてしまった。


え? 誰かいるの?


半信半疑だれけど確かに声は聞こえたし。
ビクビクしながら、辺りを見るとプレハブ小屋の中からこっちを見ている人影に気がついた。


やっぱり何かいる?!


一瞬、幽霊かと思って目を反らしたけれど、変な好奇心が沸いてきてしまってもう一度確かめるようにチラッと見た。


「同じクラスの人だよねー? ねぇ、傘持ってない? 」


その人影はわたしに手を振って呼びかけてきた。
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