てるてる坊主にコロサレタ
プレハブ小屋の中にいたのは奈穂実だった。


「……こんな所で何をしているの? 」

「雨宿り」


わたしはさしている傘を傾けると、奈穂実は遠慮なくぴょんと飛び込んできた。


「これで帰れるー。さぁ行こう行こう」


並んで歩きながら話を聞くと、早く帰って母親を心配させたくはないから、下校時刻までこの辺りを散策して時間を潰していたらしい。
そしてこの雨に降られてしまったとか。


「よくここに入ったね」

「誰でも入れるじゃん」

「そうじゃなくて怖いし気味が悪くない? わたしさっきね、本気で松永さんのことを幽霊かと思って」

「私が?! 」


ロープ1本だけの入り口をまたぎながら奈穂実は笑いだした。
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