てるてる坊主にコロサレタ
ごく自然に名前で読んでくれた奈穂実。
なんだか久しぶりに名前を呼ばれた気がして、くすぐったくなった。

奈穂実は、自己紹介を終えて軽く会釈をするわたしの話の続きを待っている。


「花の色を見にきたの」

「もしかして休憩中に描いている絵? 今度見せてよ」


わたしが絵を描いていることに気づいていた。

にこっと笑う奈穂実の笑顔に恥ずかしくなってしまった。だってわたしに関心を持つ人なんて誰もいなかったのに。

ということは無視されていることも気づいているのかもしれない。


「……だめだめ。すごく下手だから」

「上手い下手なんて関係ないよ。……というか、クラスの雰囲気を悪くしちゃってごめんね」
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