どきどきするのはしかたない

「…課長?」

「ん?」

「ご飯が終わったらどうします?良かったらお風呂入りますか?」

「涼葉はどうして欲しい?」

あ、私は…。

「課長に疲れを取って貰いたいです」

「俺が居た方が疲れが取れるのか?それとも、居ない方が疲れなくていいのか?」

「え?あ、違います。質問の意味が違います。私の疲れでは無くて、課長が疲れているなら、その疲れを取って欲しいからっていう意味で言いました」

「俺は、朝、目が覚めた時に、俺の腕の中に涼葉が居たら、疲れなんて無いな」

それは…今日に限らず、日常に対する要望でしょうか…。あ、では、今晩はどうしましょう…。

「…んー、残念だけど、着替えも無いし、今夜は帰るよ。ちょっと寄るって…約束だったしな」

「課長…」

思ってても言えないけど、帰らないでって、言った方が可愛いですか?そうですよね。素直じゃないと、何も思ってないのと同じ。

「…帰らないでって、言ってもいいんだぞ?」

頭を撫でられた。

「…、あ」

…やっぱりですよね。着替えなんて無くてもいいじゃないですかって…、引き止めた方が。

「んー、さて…、帰るとするかな…」


玄関まで一緒に行った。

「…寂しいな、帰るって」

…私が良く無い。

「課長…」

「涼葉は昔から聞き分けがいいよな」

…え?

「…涼葉」

靴を履いた課長は振り向いた。顔を両手で挟まれ見つめられた。顔が近づいて来るのが解った。課長の目線がゆっくり下がった。…唇が触れ、食まれた。課長の唇…、ゆっくりと食み続けた。手を離されて腰に回された。チュ……チュと…、ゆっくりと軽く触れる口づけに変わった。

「ん゙ー、本当ならここで抱き上げて、ベッドに戻りたいところだけどな、…はぁ、涼葉〜」

「は、い?」

「大人だな…涼葉…」

「え、あ、違います、でも…」

「俺は…子供だ…。往生際が悪い。涼葉は顔色一つ変えない。偉いよ」

…違います。言えないだけです。

「課長、エレベーターまで一緒に行きます」

「…涼葉。エレベーターか……うん」

え?
< 122 / 171 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop