どきどきするのはしかたない

根掘り葉掘り、人物を探ってもいいのだろうか。

「あの、…ごめんなさい。お隣りの方ですよね?」

「…フ。今更違うって言ったら怖いだろ」

確かに。でも、たまに居る“訪問者”かも知れないし。
聞き方は変だったかも知れないけど、隣の人で合ってるって事でいいのよね。そういう事よね。
どうしよう…自己紹介って程でも無いけど…、一応、ね。

「私、愛徳というんです」

…。

こっちから名乗っても、そっちは敢えて名乗りたくは無いか…。

「…知ってる」

「え゙っ」

「フ。知ってるよ」

え、なんで知ってるんだろう…何か、解るようなモノ見たとかかな。
洗濯物に名前なんか書いてないし…。郵便物でも落としてたかな。
渡したメモにうっかり癖で名前書いちゃってたとか…。

「俺は、さえぐさだ」

「え」

「じゃあな」

「あ、え、はい。おやすみなさい」

さえぐさ?さん?
名前、教えてくれたんだ。でも、なんで私の名前知ってるんだろう…。
ん゙…ちょっと、ストーカーって事?
それは違うのかな。

「…はぁ、解んない事ばっかり」

いけない。大きな独り言を呟いてしまった。
さっきの会話も、よく解らなかったし。
聞けなかった。…余計な事、って…。
カクテルとか苺ショートの事?…。
それ以外、特に無いよね…。
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