どきどきするのはしかたない

…はぁ。ピンポン。

「涼葉…」

「メールの返事が無かったから、まだ帰ってないと思いました…良かったです、留守じゃなくて」

「入って」

「…はい」

足を踏み入れた。ヒールを脱ぎ、揃えて端に寄せた。

「…涼葉」

立ち上がったところで後ろから抱きしめられた。

「…課長、話が…今日は話をしに来ました」

「ベッドでだって出来るだろ?」

首に唇が触れる。這う。…そんな話じゃない。

「あ、駄目です。ちゃんと話を…ぁ、…ん゙」

前から抱き直され唇を塞がれた。壁に押されて動けなくなった。課長の手が服の裾から入り、上ってくる。掴まれた。ん…、ぁ。…駄目…。

「涼葉…」

課長、こんなところで、こんな…課長じゃないみたい。服を捲り上げられそうになった。

「あっ。嫌です、…こんな…」

「…ここでは嫌か?」

「そうじゃ無くて…、話がしたくて来たんです。課長があるって」

課長の手が止まった。迫っていた顔も離れた。
ほっ。取り敢えず良かった。…このままだと抗うのは難しかったから。
…あ、キャ。

「ベッドに行こう。涼葉が欲しいんだ」

気を抜いたつもりはなかったけど…一瞬で抱き上げられてしまった。スタスタと移動している。…部屋に来てしまっているという事が、既に…私に隙がある。

「…嫌です、下ろしてください」

「…下ろすよ?ベッドに」

…課長…恐い。嫌ですなんて、言ったからだろうか。拒否して逆らったのは初めてだ。

暗いままのベッドルームに運ばれ下ろされた。乱暴にでは無い。

「涼葉の話って…何?」

手をついて被さるようになった。課長の唇は私の首筋に触れていた。もう、しなくては話せないのだろうか。
まだ別れているとかでは無い。むしろ、最後に沢山キスをして…後ろ髪を引かれるようにして課長が帰ってからの今日だ。一般的に言ったら、やるせなく甘いままなのだ。
…課長。

話があるって言った事、どう取っているのだろうか。

「逆プロポーズでもしてくれるのかと思って、時間が出来るのを楽しみに仕事してたんだ…」

ぼーっと聴き入ってしまった。隙をついて服が脱がされた。
…あっ。このままではその内、七草さんの付けたしるし、見られてしまう。無意識に胸を隠すように腕を交差していた。

「どうした…」

課長の唇は身体に触れていく。スカートも下着も全部…急くように剥ぎ取られた。動きが止まった。そして、腕を掴むといとも簡単に頭の上で一つに押し付けられてしまった。背中に回された手がブラのホックを外すと引き上げられた。

「…はぁ、…これか…。お痛はもう駄目だぞ。…涼葉は俺のだろ?」

ん…ん、痛っ。多分、しるしの上書きをされた。
…胸が痛い。
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