どきどきするのはしかたない
ブー、…。
【今夜待ってる】
…。
んー、とうとう、来たか。課長にしては、用意周到じゃない気がした。
私の話そうとしている事、何かを察しているなら、自宅に呼んだりしないはずなのに。
…深い意味は無いのかも知れない。
話は外に洩れない方がいいと思ったのだろう。だから、自分の部屋がいいと。
一度自分の部屋に帰った。
課長は私より終わるのは遅いから、時間を見計らって行かないといけない。
ピンポン。…カチャ。
「良かった…」
居た。
「ん?どうした、入るか?」
「いいえ、ここで。今から課長のところに行ってきます」
「入れ」
「え?」
「…いいから」
玄関に引っ張り込まれた。
「あ、…七草さん?」
抱きしめられた。
「はぁ、課長のところって…部屋に行くって事だろ?行って大丈夫なのか?どこか余所で話した方がいいだろ」
「大丈夫です」
…何を根拠に大丈夫なんだ。
…え…え?七草さん?
「愛徳。……ん、…お守りだ…」
「あ……痛、七草さん?」
いきなり服をたくし上げられブラの布に指を掛けたと思ったら、胸の膨らみにチクッと痛みが走った。たくし上げられた服は直ぐ戻された。
「それと…こっちも…」
そう言って顔を手で包むと私を見た。
「…どうして、そんな…苦しそうな顔…、七草さん?…」
「…煩い、…ん」
唇が触れた。…軽くだ。抱きしめられた。
「はぁ、何を言われても、…されてもいから、帰って来い…。ここに帰って来い。
駄目だなんて思うな、いいか?
…待ってるから、必ず帰って来い。いいな?必ず帰って来るんだぞ」
七草さん?
「…はい」
エレベーターに向かいながら、課長にメールした。
【今から行きます】