どきどきするのはしかたない

「涼葉、話を先にするか?」

ベッドに下ろされた。
課長も上がって、枕とクッションを背に並んで座った。
肩を抱かれた。
…あ、凄くドキドキする。カクテルの酔いもあるからだろうか。
こんな感じでこんな風にされた事は無かった。顔が熱る。

「…涼葉?」

「…私。はぁ…、課長にワーッてメールしました。悪いのは課長ばかりでは無いです。
私、課長がいつも優しいから、甘え過ぎていました。だから、その…甘えて溺れて、好きだって事、ちゃんと言葉で伝えていませんでした」

「…解ってはいたつもりだ」

え?

「涼葉が、身体だけの関係を好むタイプかどうかなんて、見ていたら解る。そんなタイプの子じゃ無いって」

「…課長」

じゃあ…。…。

「はぁ。…だけどな。だけどなんだ。
そうは思っていても、結局は解らない事ではあるだろ?…好きだと言われて無いし聞いて無い。
情けない話だけどな」

「…ごめんなさい」

「いや、俺だって。資料室で…人気がなかったから。涼葉の唇に思わず触れたくなって。
そしたら、涼葉、…抱き着いてきた。
俺のした事に驚いて嫌だったら、拒否反応というか、多少なりとも突き放すというか、動揺して何かするんじゃないかと思ったんだけど。びっくりし過ぎて動けなかったのか、とも。
逆に…背中に腕を回されたから、俺の方が、いいのかって戸惑ったくらいだった。…こんなはずは無いってね。どっちなんだって葛藤した。
それは、遊びでいいという誘いなのか、好きだから、そうしたのか、はっきりとは解らなかった」

「あ…、私、あの時、私、何が起こったか、解りませんでした。…驚いて」

「本当に?」

「本当です!」

「ハハ、…それで?」

「私にとって、課長は有り得ない…、憧れの人で終わる人だったんです。
そんな人が私に…キスするなんて…。そしたら」

…これは、ちょっと、恥ずかしい。

「そしたら?」

「あ、…それは」
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