どきどきするのはしかたない
・本気の好きっ…て

同僚に預かったファイルを先に戻し、自分の欲しい資料を探し始めた。

中途半端に多い資料。…やっぱり。あるべき辺りに見当たらない。
…もう。ここは絶対管理者を置くべきよ。…居るのかな。だとしたらちゃんと仕事してないって事かな。

あったところに返すという事が何故出来ないのだろう。学校の図書室じゃないんだから。
自己責任でちゃんとしてよねって話だ。

ゔー。今日は諦めてしまおうかと思った。
こんなに…目を皿のようにして見てるのに、見当たらないなんて。
誰か持ち出しているのかも知れない。

気がつけば終業時間も過ぎていた。
よし…駄目だ、もう戻ろう。
諦めて出ようとした。

ゴト。ん?音がした気がした。
乱雑にしてある物が崩れたのかも知れない。
後で徐々になだれ落ちても大変だ。
音のした方へ行って見た。

んー、特に…変わった様子も無いようだ。
もしかして…誰か居るの?…。
棚が幾重にも列を作っている。
音も立てずに居たら、誰か居ても解らないといえば解らない。
まさか…課長?
そんな事はもうしないか。
第一、脅かすような事はせず、来たのなら声を掛けるだろうし。
私が資料室に来ているからといって、追い掛けて来るような事…そんなラブラブな事はしないはず。
課長?と声を掛け、課長じゃなかった場合、後の対処に困るから、迂闊に声を掛ける訳にもいかない。

「愛徳」

「わっ、キャ…」

奥にばかり気を取られていたら直ぐ近くで呼ばれた。

「…七草さん。あー、もう、…びっくりしました」
< 33 / 171 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop