どきどきするのはしかたない
「…誰が課長だ」
「…て、え?七草さん?え?…課、長、は?」
「さぁな」
…さぁなって。本当に居ないの?
今のメールは帰りながらだったって事?
「ピンポンピンポン、鳴らされてるのに出ないし、…煩いし。何してるんだろうと思ってな。で、何してるんだ」
「…何って、見ての通りです」
「面会拒否か…子供だな。何やってるんだ」
「何って…会いたくないから会わなかっただけです」
「それで解決するのか?」
「それは…しないと思います。でも、もしこのままだったら、そのまま終わるって可能性もあります…」
「はぁ…、それは無い。甘い。ある訳無いだろ。課長がそんな曖昧なままにするはずがない。徹底的に突き詰めるに決まってる」
「今の…私は悪くないです。この態度は…悪いかも知れないけど…」
…。
「追い掛けろよ」
「え?」
「早く追い掛けろ。まだそこら辺に居るだろ。愛徳の足でだって走れば追いつける。早く行け。
早く」
…もう。
「大きなお世話です」
「何でもいいから早く行け!意味も解らず泣くんじゃない」
「え?」
「訳も聞かずに、思い込んで勝手に泣くな。それは無駄な涙だ。
会いたくない、恐いって言っても悔しいんだろ?はっきりして来い。
泣くならそれは後からだ」
…やっぱり、色々知ってるんだ。…私より知ってるの?
バッグを手にして鍵をかけた。
「ちゃんとしまっとけよ、鍵。あー、安心しろ。今度無かったら、うちに泊めてやるから」
もう…それは一時凌ぎにしかなりませんから。それに、…泊まる訳にはいかない。
「泊まりません」
エレベーターに走った。