俺の恋した生徒は…《先生×生徒》
俺は楠木が好きだ…
だけど教師としてそんなのダメに決まっている。
だから俺はその気持ちに気付かないフリをして自分を騙しつつ、
こんなに楠木のことを考えてしまうのは、ただ俺のクラスの大切な生徒の中の1人だからだ。
そう言い聞かせていた。
でもこんな楠木を目の前に、教師という事を忘れそうになっている自分がいた。
「楠木、携帯持ってるか?」
「あ、はい」
「これ、俺の番号だからいつでも話したくなったら連絡してこい」
そう言って俺の番号が表示されてる画面を楠木に見せる。
「…いいんですか?」
「他の生徒には秘密な」
「はいっっ」
生徒に番号を教えるなんて規則違反なんだよな…
でも嬉しそうに俺の番号を自分の携帯に登録する楠木を見てつい、
また頭を撫でてしまった。
「先生…番号、ありがとう」
恥ずかしそうにしてる楠木を見て、もっと自分の思いが止まらなくなりそうで
「じゃあ、俺はまだ残ってる仕事あるからそろそろ戻るな。気をつけて帰れよ」
そう言い、楠木を残して数学準備室を出た。
実際本当の気持ちに気付いてしまっている以上、いくら気付かないフリをしたところでダメなのは分かっている。
だけど俺は教師だ、
絶対に隠し通さなきゃならない。
そう気持ちを落ち着かせながら職員室に戻った。