身代わりペット
「淳一さん!声が大きい!誰か来たらどうするんですか!?」

「だだだだ、だってだって!え?あ、赤ちゃん!?赤ちゃんって、あの赤ちゃん!?」

淳一さんはパニックになってよく分からない事を言っている。

ま、こうなる事は予測済だった。

急に赤ちゃんが出来た、なんて言われてもビックリするよね。

「はい。あの赤ちゃんです。私と淳一さんの赤ちゃんです。2週目に入りました」

「………………」

聞いているのか聞いていないのか、淳一さんが呆然としていて私の声に反応しなくなった。

「あの、淳一さん?」

あれ?

もしかして、喜んでない……?

淳一さんなら喜んでくれるとなにも疑わずにいたけど、もしかして別れよう、とか言われない、よね……?

「あの……」

起き上がり、淳一さんに手を伸ばしたら、その手をいきなりガシッ!と掴まれた。

「わっ!」

「結婚しよう!元気な赤ちゃん、産んで下さい!!」

とこれまた叫ばれた。

私も、

「……はい!」

と、負けじと大きな声で返事をする。

良かった。

ちょっとだけ淳一さんを疑っちゃったけど、要らぬ心配だった。

だって、とびきりの笑顔を見せてくれている。

「幸せにするから」

そう言われ、そっと抱き締められる。

「はい。私も淳一さんを幸せにしますからね」

私も、ギュッ…と淳一さんに回した手に力を込めた。

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