さよなら流れ星




「…会いたい。」


その言葉が口からこぼれたのはほぼ無意識だった。
流星の声を聞くたびに心の奥に積もっていた思いが、ついに言葉となって口から飛び出た。


「あたしの話、聞いてくれるんでしょ。会いたいよ、声だけじゃなくて、顔を見て話したいよ。流星。」


堰を切ったように溢れ出す言葉たち。


「あたしのことばっかり話してるもん。流星のことも知りたいよ。」


最後の言葉はほとんど呟くようだった。

こんなの変だ。
胸がきゅーっとなる。
恥ずかしい。

恥ずかしいけど、あたしの知ってる『恥ずかしい』とは少し違う胸の痛み。

体育座りをして、左手を痛いくらいに握りしめて返事を待つ。
どくん、どくん、と心臓の音がうるさい。


『…俺も、』


いつもよりちょっとだけ上ずった声。


『俺も、会いたい。』






< 52 / 58 >

この作品をシェア

pagetop