さよなら流れ星





その言葉に思わず溢れた笑みに、口元を手で隠す。
弾みそうになる声を堪えようと大きく深呼吸した。


「流星は、どこに住んでるの?」

『俺は渋谷だよ。』

「えっほんと?私も渋谷の近くに住んでるの!偶然だね!」


同じ県に住んでるだけでもすごいのに、同じ東京で、しかも同じ地区。
出来過ぎた偶然に思わず立ち上がってぶらぶらと歩き出す。

近くに住んでるなら、今日会うことだってできるはずだ。


「流星は今日なんか予定ある?」
『いや、特にはないよ。』
「じゃあ今日これから会おうよ!」


さっきまでの暗い気分が嘘みたいに顔がほころぶ。
画面の向こうで、流星も同じ気持ちでいてくれているのだろうか。


「どこで会おう、ハチ公前でいいかな?」


はやる気持ちを抑えきれずに、飛行機雲を見上げながら言った。


蝉の声。
飛行機の音。
流星の吐息。


しばしの沈黙のあと、流星が口を開いた。



『ハチ公前?なに言ってるの?』






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