特別な君のために

色々あったけど、私はこの家に生まれて良かった。

小さい頃は、どうしてって思うこともいっぱいあったけれど、私はお父さんとお母さんから愛されて育つことができた。

それは、とってもよく伝わっている。


ただ、いつだって私は後回しになっていたことが寂しかった。

たまには、私だけを見て欲しかった。


だから、高校の合格祝いでディズニーシーへ行った時、お父さんが事あるごとに、こう言ってくれたのが本当に嬉しかった。

『今日はおねえちゃんのお祝いだから、おねえちゃんが一番、なんだぞ。千春だって、待つこと、我慢すること、できるよな?』

それに応える千春の成長が嬉しいと、ついついビールの量が増えて、結果、誰よりもはしゃいだお父さんが出来上がってしまった訳だけど。

やっぱり、私はこの家の長女で良かった。

優しいお父さんと、厳しいお母さん。

ちょっと手のかかる可愛い妹に恵まれて、時々ケンカもして。

千春が妹として生まれてくれたことを、しっかり受け止められるようになろうと決意を固めた。

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