王様と私のただならぬ関係
「貴女が見てるな、と途中から気づいてはいたんだけどね」

　でも、止まらなかった、と静は言う。

「私、葉月さんがずっと好きだったの、入社したときから。

　びっくりするくらい綺麗で超然としてて、あの人を見ていると、なんだか世俗の嫌なことを忘れられそうな気がして」

　確かに世俗の嫌なことは忘れられますが、摩訶不思議な世界に引きずり込まれますよ、と思っていた。

「葉月さんに彼女が出来たって、廣田さんに聞いて。
　ああ、もう最後だなーって。

　あの葉月さんに好きな人が出来るとか。

　きっともうその人と結婚しちゃうんだろうなと思って。
　なにかこう、揺らぎそうにない人じゃない」

　そうだといいんですけどね……と思いながら、明日香は聞いていた。

「お見合いしてから、どんどん進んでく話に戸惑ってたんだけど。
　私ももうケリをつけようと思って」

　見合いか。

　如月先輩といい、気を抜いてると、仲介している相手によっては、ハッキリ断らない限り、ガンガン進んで行く恐ろしい代物らしい、と確信した。
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