王様と私のただならぬ関係
 まあ、自分に関係ない人のことであっても、しゃべるつもりはないですけど、と思いながら、短く、
「いえ」
と言う。

 なんか……いいのかなあ、と思ってしまう。

 自分は長年、葉月さんを想ってきた、とかじゃないし。

 葉月さんに似合いの相手でもない。

 見た目も三田さんの方がよっぽどお似合いだ。

 二人とも、あんまり汚れてない感じの綺麗さで。

 ……汚れてない。

 いいや、あの男は汚れている……。

 最近、意外に手が早いんじゃないかと思い始めていたからだ。

「あの、きっと葉月さんは趣味がおかしいんですよ。
 あの人に三田さんみたいな人はもったいないです」
と言うと、慰めたと思われたのか、

「……ありがとう」
と微笑んでくれた。

 では、失礼します、と鍵を手に行こうとしたが、一応、気になったので、確認しておこうと足を止める。

「あの、ひとつ、いいですか?」
と振り返り言うと、

「なにそれ、探偵さん?」
とくすりと静は笑う。
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