王様と私のただならぬ関係
 きっと中はオアシスかオリンポスみたいになっていて、人智を超えたものがつまっているにちがいない、と思っていた。

「でも、葉月さんの相手が貴女でよかったわ」
と静は笑う。

「いろんな意味で敵わないから」

 どんな意味でなんですか……。

 その意味、ひとつでも知りたいですが、と思っていると、静は素敵な笑顔で言ってきた。

「なんだか、吹っ切れたわ。
 貴女みたいな人が好みなら、私には、万に一つの可能性もなさそうだから」

 ……うん。

 だから、どういう意味なんですかね、それは……、と思ったが、やっぱり口から出なかった。








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