王様と私のただならぬ関係
 みんなが結構格好いい、と言っていた小笠原主任に、既に要注意人物として、マークされている気がした。

「ああ、すみません、主任。

 綺麗なポスターだなあ、と思って。
 やっぱり、会社のイメージって大事ですもんね。

 モデルさんですか? この人」
と訊く。

 すると、小笠原は眉をひそめ、
「何処にポスターがある」
と言ってきた。

 え? と振り返り、右手の壁に貼ってあるポスターを指差す。

「……それは生きた人間だ、莫迦者」

 ええっ、と明日香はそのガラスに張りついた。

 中ではまだ、男が試験管を目の高さにかかげ、それを見ている。

「ポスターじゃないんですかっ?
 あの人、動きませんよっ!?」

 小笠原は溜息をつくと、窓を叩いた。

葉月(はづき)
と中に呼びかけている。

 すると、男の目がこちらを見た。
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