王様と私のただならぬ関係
 不安になりつつ、下を見たから、そう見えているだけかもしれないが。

 なんだか挙動不審な大きな影がある、と思いながら、秀人に気づかれないうちに、カーテンを下ろし、

「はい」
と言う。

 不安でもあったが、秀人が心配してくれていることが嬉しかったし。

 俺以外の誰が来ても、というフレーズがまるで、付き合っているかのようで嬉しかった。

 ……いや、付き合っているのだろうかな? もう。

 少しの間があって、秀人が、
『じゃあ、おやすみ』
と言ってきた。

「おやすみなさい」
と言うと、秀人は少し笑ったあとで、

『もやしのヒゲ、栄養あるぞ』
と言って電話を切った。

 しばらくじっとして、スマホを見ていた明日香だが、だだただっ、とリビングに走り、水槽の明日香に話しかける。

「明日から、もやしのヒゲッ、食べるからっ」

 明日香が、へーという顔でこちらを見ているように見えた。





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