王様と私のただならぬ関係
 だが、怖いもの見たさか、エレベーターに乗る直前、ちらりと振り返ってしまう。

 今のイキモノ? を目視で確認した。

 彫像っぽいものはまだ彼女に受け取ってもらえていない薔薇を持ち、そこに立っている。

 人間なのでしょうか。

 美しすぎます。

 でも、あまりに人の気配がしなくて怖いです。

 いや、人の気配がしないからこそ、美しく見えるのかもしれませんが――。

 そんなことを考えながら、土曜日なのに、出勤せねばならないので、会社に向かう。







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