王様と私のただならぬ関係
 貴継が扉を開けた隙間から、二人で縦に並んで、一緒に覗く。

「おっ、二人で出て行ったぞ」
「なんかラブラブっぽいですね」

「俺たちくらいにか」

 そ……それは知りませんけど、と赤くなりながら、
「すみません。
 重いので退いてください」
と明日実の上にのしかかるようにして、廊下を見ている貴継を押し返そうとする。

「もっと重くしてやろうか」
と上から抱きすくめるようにして、貴継は体重をかけてくる。

「やや、やめてくださいよっ。
 ていうか、叫んだら、気づかれますしっ」

 しっし、と貴継を払おうとするが、
「よし、まあ、ちょっと来い」
と言って、明日実は奥へと引きずられていった。






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