王様と私のただならぬ関係
 


 息を切らして自分の家に戻ると、
「明日実、何処に行ってた」
とリビングに居た貴継が言ってくる。

 出かけていた間に来たようだった。

「あっ、すみませんっ。
 デザートを買いにコンビニに」
と小さなビニール袋を見せると、

「夜フラフラするなよ」
と軽く頭を小突かれる。

 心配されるの、ちょっと嬉しいかも、と今、小突かれた頭に手をやった明日実だが、あっ、と思い出して叫んだ。

「貴継さんっ。
 今今今っ、彫像の方がですねっ。

 白いお面をかぶって、廊下にいましたっ」
と外を指さし、報告すると、貴継は眉をひそめ、

「得体の知れない男だな」
と言う。

 うーん。
 そのセリフ。

 誰に言われたくないって、貴方に言われたくないと思います、と思っていると、貴継は、
「どれどれ。
 ちょっと行ってみようじゃないか」
と言い出した。

「貴継さん、覗きはいけませんよ」
と言いながら、明日実も後ろをついていく。
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