王様と私のただならぬ関係
 ティーカップの側にあった黒い紅茶の缶を出しながら、秀人は、
「紅茶でいいか」
と訊いてくる。

 見覚えのある缶とロゴだ。

「マリアージュフレールじゃないですか」

 マリアージュフレールはフランスの紅茶の老舗だ。

 ラベルを見ると、マルコポーロだった。

 フルーティな甘い香りが親しみやすい感じがするお茶だ。

 ……結構高いけど。

「紅茶にはこだわりあるんですね」

 奢るの珈琲じゃない方がよかったかな。

 いや、社食の紅茶、ティーパックだからな。

 かえって失礼か、と思いながら言うと、

「いや、これもお返しにもらったんだ」
と言ってくる。

 ……ほんとに、こういうものに興味がないんだな、と思った。

 しかし、カップといい、紅茶といい、ご友人たち(?)は趣味がいいようだ。
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