王様と私のただならぬ関係
 なにかおかしな秘密を知って、拷問されて殺されそうな感じだった。

 慌てて話題を切り替える。

「あ、あのー、そういえば、ご家族は?」

 訊いていい話題なのかなーと思いながらも、結婚結婚言っているのだからいいだろうと思い、訊いてみた。

「居る」

 そのまま待っていたが、続きはなかった。

「あのー、もうちょっと言葉数増やしませんか?」
と言うと、

「海外に居る」
と言う。

 名詞と助詞が増えたな……。

「母と父と姉と弟が居る」

 そう付け加えた秀人に、
「結構、増えたじゃないですか」
と言ってしまい、

「いや、家族は特に増えていないが」
とおかしな顔をされる。

 いや……貴方の話す単語が増えたと言っているのですが。

「……研究者って、二タイプ居ますよね。
 徹底して語らないか、語り出したら、止まらないか。

 うちの父親は後者なんですが」
< 42 / 298 >

この作品をシェア

pagetop