王様と私のただならぬ関係
 いっそ、あっちの方がやりやすいと今、感じました、ともらすと、
「お前の父親は研究者なのか。
 それは縁があるな」
と言ってくる。

 いや、この世に研究者が父親の娘は山と居ますからね。

 特に私だけが貴方とご縁があるというわけではないんですよ、と思っていたが、やはり、口には出せなかった。

 しかし、秀人は、
「なんの研究をしてるんだ?」
と訊いてきた。

 やはり、そこ、食いつくか、と思いながら、
「いや、うちは理系じゃなくて、日本文学なんですけどね」
と言ったあとで、

「あれ? さっき、自分の研究内容は話さないって言ってたじゃないですか」

 人のはいいんですか? と言うと、

「じゃあいい」
と黙ってしまう。

「いやいやいや、冗談ですよー。
 別に父の研究に秘密なことなんてないですから」

 っていうか、私は知らないです、と思いながら、この人、ちょっと子どもみたいなところもあるな、と思っていた。
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