王様と私のただならぬ関係
長い廊下を歩いて、ドアを開ける。
「えー……」
と明日香は固まった。
暗闇の中、大きな水槽の中で、クラゲが泳いでいる。
青くライティングされた水の中をクラゲが上へ下へと泳いでいた。
水族館さながらだ。
「すごいですね」
と呆然と呟くと、
「クラゲ見てると落ち着くんだ」
と秀人は言い出す。
クラゲ飼うのって大変って聞いたけど。
この人、細かく気配りしそうだからな。
……人間以外には。
秀人が後ろで扉を閉めた。
真っ暗な中、青い水とふわふわしたクラゲだけしか、この世界に存在していないような気分になる。
ムードは満点だが、この人、そういう意味で水槽置いてるんじゃないんだろうな、と思っていると、
「まあ、座って見ろ」
と言う。
クラゲを見ながら、……はい、と返事をし、暗がりの中、言われた場所に腰を下ろした。