王様と私のただならぬ関係
 いきなり、幼稚園の校舎裏に隠した泥だんごについて、昨日のことのように語り出しても、最早、驚くまい、と思いながら、黙々と食べていたのだが。

 ふと気づけば、なんだか美味しく食べられている。

 そういえば、この人って、どうだ、それはっ!? って話はするけど、聞いていて、不愉快になるような話はしないな、と気がついた。

 会社の愚痴とか、どうかと思うような噂話とか。

 ……まあ、そもそも、そんなに人間に興味がないか、と笑うと、
「今の話、笑うとこか?」
と訊かれた。

 いや、貴方の話は関係ないですよ、と思う。

 だって、突然、トカゲが手を上げるのは、敵意がないことを示しているからだとか言われても、何処を笑ったらいいのかわからないじゃないですが……。

 そこで、
「お前もなにか話はないのか」
と問われ、

 あ、やっと、私がしゃべってないことに気づいてくださいました? と思う。

 だが、いざ、話そうとすると、なにを話していいのかわからない。

 遠いギリシアの地獄の話と、イタリアのシャワーのヘッドがつまる話と、トカゲが手を上げる話のあとに、なにをっ!?

 小話とか、雑学とか、豆知識とかっ?

 ないですよっ!?
< 86 / 298 >

この作品をシェア

pagetop