漆黒が隠す涙の雫
潤くんは、私の話を聞いているのかいないのか、次から次へとTVのチャンネルを変えながら黙ったまま。
「お兄ちゃんと私の事なんて、本当はどうだっていいんだよね?自分の目的を達成出来ればいい。…違う?」
「だったら何?」
潤くんの冷たい視線が私を貫く。
あぁほら。
これが本性なんじゃない。
所詮は暴走族。
自分の目的の為なら人なんてお構い無し。
私利私欲の為に私に酷いことをしようとしたあの人達と何ら変わらない。
私と潤くんの間を不穏な空気が流れる。
昴くんと修二くんは心配そうに私と潤くんの顔を交互に見ている。
潤くんは、TVの電源を切って、大きな溜息をひとつついた。
「愛華は、今新が具体的に何をしようとしてるか知ってるの?」
「具体的…に?」
お兄ちゃんが私の為に何かをしようとしていて、何かに巻き込まないために私から離れていった…と言う事だけは何となく分かった。
だけど、お兄ちゃんがした事で、なぜ私が巻き込まれるのだろう?
なぜそうまでしなきゃいけないのか……。
結局のところ、私は何も知らない。